気になる病気の自己診断身近な薬用植物ゴルフのルール種子からの盆栽入門
医療検査値の意味・読み方美味しい調理のコツ自然誌病状を改善する栄養素

自由研究  ⇒ 物理

光学レンズ

身近な自然と科学 Vol.138から

視力回復訓練に憑りつかれていました。
近視は眼球が前後に伸びやすい遺伝だと言われても納得できずに(笑)
視力の回復は疑わしくても、視力回復トレーニングなるものをすると睡魔に襲われますから不眠症の方にはお勧めです。

訓練で回復しないとなると次に頼るのはメガネやコンタクトレンズです。
ポケコン(関数電卓に高級プログラミング言語を載せたもの)が流行っていた頃、レンズの設計方法を考えたことがあります。
先ず、一般的なレンズは球面ですから、中心で切断して得られる断面の曲線は円の式で表されます。
次に、この曲線上の任意の点Aでの法線(曲線の微小区間を表す接線と直角に交わる線)を求め、点Aに入射する光と法線の角度を設定し、スネルの法則で屈折する角度を求めました。
スネルの法則というのは、屈折率の異なる媒質n1とn2の境界に光が入射する場合は
入射点の法線と入射する光がなす角i1、 屈折して出る光と法線のなす角i2との間には
n1×sin(i1)=n2×sin(i2)
の関係があるというもので、レンズの様な球面の接平面においても成り立つ事が証明されていて、レンズ設計の基本の一つです。
⇒「光学レンズの原理」参照
私はポケコンで計算して遊びましたが、 球面の一部を切り取った形のレンズでは周辺部に入射する光は一点に集まらない、 カメラの様に像を結ばせると歪むなど、球面レンズの欠点が判って愉しかったです。


スポンサーリンク

レンズの欠点(収差)には「ザイデルの五収差」と色収差があります。
ザイデルの五収差はL.Seidel(オーストリアの数学者1821-1896)の名をとったものですが、 1、球面収差
2、コマ収差
3、非点収差
4、像面湾曲収差
5、歪曲収差

を言い、これらはレンズの形状が球面である為に起こります。

レンズの中心と焦点を結ぶ線を光軸とし、 1、球面収差は、 球面の一部の形状したレンズでは、レンズの中心面と端の面が光軸と作る角度が違う為、レンズの中央からずれ手入射した光は本来の焦点よりレンズ寄りになります。
虫眼鏡(ルーペ)で太陽光を集める実験や焦点距離を測る実験で、明るいところが大きな円になるだけで光が一点に集まるところがはっきりしない現象でこの収差を見ることができます。
この収差はレンズの形状が球面である限り逃れられないために球面収差と呼んでいます。
非球面レンズを使えばこの収差は生じませんが、非球面レンズは製造コストが高いので安価な球面レンズを組み合わせて収差を軽減しています。

最も簡単な球面収差軽減方法は、口径比(F)を大きくしてしまうことです
口径比というのは焦点距離をレンズの直径で割った値で、カメラの絞り値Fと同じです。
収差軽減目的でのF値を大きくする意味は、レンズの中心から離れた部分は使わないという事です。
次に思い浮かぶのは、凸レンズと凹レンズは光を屈折させる方向が逆なのでそれぞれが持つ球面収差も方向が逆だということです。
そこで、凸レンズと凹レンズを組み合わせて1枚のレンズを作ります。
ただし、二つのレンズの屈折率が同じでは意味が無いので、凸レンズの屈折率を強くして2枚合わせて凸レンズにし、凹レンズの屈折率を強めて2枚合わせて凹レンズにします。
当然、屈折率の強い方のレンズの球面収差が残ります。
このように2枚合わせたものを「タブレット」と呼びます。

1枚のレンズで凸レンズと凹レンズの組み合わせの機能を持たせたのが、メニスカス・レンズです。
レンズの断面が三日月状になるのでメニスカスと呼ばれています。
光はレンズに入る境界とレンズから出る境界で屈折するので、表面を凸レンズに磨き、裏面を凹レンズになるように磨きます。
メニスカスレンズは他のレンズと組み合わせて光学機器に多用されていますが、 メニスカスレンズ1枚では、メガネ(非球面でない)や、F値を11ぐらいにすると実用になる像を結ぶので玩具的なカメラで使われています。

2、コマ収差は光軸と平行にレンズに入らなかった光が光点を中心にして集まらずに一方に偏っていて、彗星の尾のように流れる像を作るものです。
虫眼鏡で太陽光を集める実験で、虫眼鏡を傾けると簡単に現れます。
コマ収差は画角とレンズの口径の二乗に比例して大きくなるので、広範囲を写す広角レンズや視野の広い双眼鏡に生じやすいものです。
コマ収差を軽減するには、レンズの口径を小さくする。凸レンズと凹レンズを組み合わせる。両面が非球面のレンズを使うなどがあります。

3、非点収差は一点から出た光が点に写らずに線に写るものです。
一点から出た光でもレンズで像を結ぶ時には、レンズ面に対して傾いて入る多くの光の集まりになるので、球面収差のために本来の焦点よりレンズ側に向く光があるために起こります。
非点収差は画角に比例し、レンズの口径の二乗に比例して大きくなるので、広い範囲から光を取り入れる必要がある広角レンズや視野の広い双眼鏡に生じやすいものです。
非点収差を軽減するには、レンズの口径を小さくして且つ視野を狭くすること。レンズの両面が非球面のレンズを使うことです。

4、像面湾曲収差はカメラのように広い範囲の像を写すときに、中央と端でピントが合わない現象です。
湾曲収差も光軸に平行に入射しない光によって生じ、画角に比例し、レンズの口径の二乗に比例して大きくなります。
このため、湾曲収差を防ぐには使う画角を小さくし、レンズの口径を小さくします。
また、非球面のレンズで補正します。
銀塩フィルムを使ったカメラでは、湾曲収差を軽減するためにフィルムを僅かにパラボラ状に湾曲させて固定するものがありました。

5、歪曲収差はレンズを通して写した像が歪んでいて、写されるものと相似にならない現象です。
絞りの位置によって歪み具合は変化します。

6、色収差は光の色(波長)によって屈折する角度が違うので波長が違うと焦点の位置が違う為に起きます。
具体的には紫色は赤色よりレンズよりに焦点を結びます。
この収差を軽減するには凸レンズの後ろに凹レンズを置き、凸レンズで強く屈折した色は凹レンズでも強く屈折させ、凸レンズで弱く屈折した色は凹レンズでも弱く屈折させることにより、凸レンズで波長ごとに分かれてしまった光を元に戻します。

このときに使う凸レンズと凹レンズはレンズの材質を変えてあり、波長によって屈折する角度(分散)は凸レンズより凹レンズの方を大きくし、凸レンズより焦点距離に長い凹レンズで元に戻せるようにしています。
同じ材質で作ると、凸レンズと凹レンズの焦点距離を同じにしなければならず、合わせたらレンズになりませんから。
また、全ての波長で元に戻すのは難しいので、肉眼で観る望遠鏡や顕微鏡などは人間の眼の感度が高い黄色と銀塩(フィルム)の感度が高い紫の2波長で合うように設計しています。
カラー写真用カメラレンズは3波長が合うように設計されています。

色収差は実用的にはもっとも厄介な収差で、分散の異なる凸レンズと凹レンズの組み合わせが
発明されるまでは口径比の大きなレンズを使って軽減するしかありませんでした。
うろ覚えなのですが、私が小学生の頃読んだ本には、レンズ径は小さいのに焦点距離が20mという天体望遠鏡を作った話が載っていました。
私も小学生の頃、近くの模型店でレンズセットを買い天体望遠鏡を作ったことがありますが、レンズ系8cm(焦点距離1200mm)の対物レンズを2cmぐらいに絞っても色収差が酷くて使い物になりませんでした。

最初の望遠鏡と言われるガリレオ式はご存知の通り、凸の対物レンズと凹の接眼レンズの組み合わせな上に倍率が大きく出来ないので色収差は目立たなかったようですが、凸レンズだけで作られたケプラー式は色収差が酷かった為に、放物面鏡や凹面鏡の反射を利用した反射望遠鏡の発達を促したと言われます。

反射望遠鏡でも接眼レンズを使っているので色収差が出るだろうと思われる方がいらっしゃると思いますが、凸レンズを2枚しか使わないハイゲン式接眼レンズでも2枚のレンズの間隔をうまく設計すると目立たなくできます。

今号の話題を採る切っ掛けになったメガネレンズの話です。
メガネレンズの度は焦点距離(m)の逆数D(ディオプター)で表されます。
眼から1mより遠くがはっきり見えない近視の方のメガネは、遠くから来た光(平行光線)が眼から1mのところで像を作ればよいので使うメガネは凹レンズで、

D=1÷−1=−1
という計算して、 D=−1の度のレンズを使えば遠くもはっきり見えることになります。
ディオプターで表すと複数のレンズを組み合わせたときにも便利です。
例えば焦点距離10cmの凸レンズ(D=10)と焦点距離5cmの凸レンズ(D=20)を合わせると
D=10+20
f=1/D=0.0333・・・
となり約3cmの凸レンズになります。
焦点距離5cmの凸レンズの変わりに焦点距離5cmの凹レンズ(D=−20)を合わせると
D=10−20=−10
f=1/−10=−0.1
となり焦点距離10cmの凹レンズになります。


スポンサーリンク






スポンサーリンク




プライバシーポリシー