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磁石について

身近な自然と科学 Vol.134から

磁石で思い出すのが去年の今頃の事です。
冷蔵庫の側面などにメモ用紙を留めるのに使うプラスチックのカバー付きの磁石の棒を買いました。
ところが、何か変に感じたので弄っていると、カバーから磁石が外れ、磁石だと思っていた物がゴム状の姿を現したのです。
ゴム磁石が出来たのか?! と驚嘆しました。
しかも、105円で2本も買えるのです。
が、磁石の粒をゴムに練り込んで作った物と判明。
博識な知人によれば、磁石を練り混んだシートなども売られているそうです。
そう説明されてみれば、自動車に貼る若葉マークもこの類でした。

さて、磁石の磁力は何によって生じているのでしょう?
電気が流れると磁力が生じるのは周知の通りですが、電気の流れは電子の流れです。
ですから、電子が動くと磁力が 発生すると言い換えられます。
磁石の場合も電子の動きが関係 しています。

先ず、原子の構造から説明します。
喩えは適切ではないと思いますが、何方もご存知の太陽系と比べて説明します。

太陽が原子の場合は原子核になり、水星、金星、地球、火星、木星、・・・
と続く惑星の軌道は、原子の場合は原子軌道と言い、惑星の代わりに電子が回っています。
そして、惑星が太陽の周りを回りながら自転しているように、電子も原子核の周りを回りながら自転しています。
この 電子の自転を“スピン” と言います。

太陽系と原子の大きな違いは、惑星の軌道には惑星が1個しかありませんが、原子軌道には電子が1個以上存在するという事です。

原子軌道上にある電子は、一番内側の原子軌道には電子は2個、その外側の軌道には電子は8個、その外側の軌道には電子は18個、その外側の軌道には電子は32個、 ・・・・
という具合に外側になるほど多くの電子が存在出来ます。

実際には電子は雲の様に位置がはっきりしない状態で存在し、また、原子軌道全てに電子が満たされるとは限りません。
例えば、電子が8個しかない酸素の場合は、一番内側の軌道に2個、その外側の軌道に8個入れるのに6個しか入れることが出来ません。
電子2個分が空席になっている為に不安定で、安定させる為に他の原子と結びついて多くの酸化物を作っています。

磁石の話で重要なのは、電子スピンの回転方向が正逆の2個でペアーとなって電子が存在するか、ペアーになれない電子が存在するかです。
電子が回転すると磁力が生じますが、逆方向に回転する電子とペアーになっていると、磁力が打ち消し合って外に磁力が生じません。
ペアーになっていない電子を“不対電子”と言い、磁石になりやすさは不対電子の数によって左右されます。(他の要因もありますが省略します)

鉄が錆びて磁石に付かなくなるというのは、“付かなくなる場合”でしかありません。
錆びる(酸化される、電子を失う)という変化で不対電子が多くなれば磁石に付くようになります。
現に、自然に産して太古から磁力があると知られている磁鉄鉱は酸化物です。
また、 不対電子を多く含むプラスチックが作れるならプラスチック磁石も出来る訳です。

次に、鉄製のクリップに磁石を付けたり、磁石でクリップを擦ったりすると、クリップが磁石になる現象を説明します。
鉄は内側から3番目の原子軌道に不対電子を持っていますが、鉄鉱石から精錬され、クリップの原材料になるまでに高温で焼かれるために、外部から加えられた熱エネルギーで不対電子が勝手に動き回り、鉄が冷やされたときには多くの不対電子の向きが不揃いになっています。
向きが不揃いですからスピンによって磁力が生じてもその磁力の向きも不揃いですから全体でみれば、磁力が打ち消し合って磁力が外に出ません。

不対電子の向きが不揃いな状態のクリップに磁石を近づけると、外部からの磁力に応えて不対電子の向きが揃います。
例えば、N極を近づければ、不対電子の作る磁力のS極が相向かうように揃い、不対電子が揃った後に磁石を遠ざけても、不対電子の向きは揃ったままなのでクリップにも磁力が生じる訳です。

しかし、こうして磁石になったクリップの磁力は、クリップ内部でN極とS極がくっ付き合うように電子のスピンの向きが変化するために弱くなってしまいす。
これはある部分で
 NS
 NS
という、上下2つのミ クロの磁石が作られていても、上の磁石と下の磁石は、NNとSSで反撥し合って、  NS
 SN
というように向きが変わってしまい、磁力が外に出なくなってしまうからです。
永久磁石になるには、反撥し合っても向きが変わらないだけのエネルギーを持っていなければなりません。
このエネルギーを保持できる構造にするために永久磁石は合金で作られています。

次に、磁石をコンロなどで焼くと磁力が消えることについてです。
これは焼くと外部からの熱エネルギーで不対電子が動き回り、その結果、不対電子の向きが不揃いになってしまうからです。

ところで、不対電子はペアーを組む相手の居ない独り者なので、いつもペアーを組む相手を探していて、相手が見付かれば直ぐに一緒になります。
例えば、水素原子の場合は電子が1個しかないので不対電子ですが、酸素原子と結びついて水となるなど、他の原子と結び付いて化合物として存在しています。

このように不対電子は単独で存在し難い形態なので、磁石になる物質は限られ、磁石と言えば鉄を含むと思ってしまいます。

正真正銘の プラスチック磁石 は、ネブラスカ大学のアンドレイ・ライカ教授グループによって初めて作られました。
けれど、摂氏マイナス262度より高温になると熱運動で不対電子が乱れてしまう。
不対電子の数が鉄よりはるかに少ないために磁力が弱い。
という大きな欠点があります。
(鉄が原子1個に2個の不対電子を持つのに対し、このプラスチックは原子12個あたり不対電子が1個)








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