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小さな物を大きく撮影する簡単な方法

身近な自然と科学 Vol.116 より

大きく撮る為にはカメラレンズを被写体に近づけなければなりませんが、カメラにはピントが合う最短距離があり、それ以上近づいて撮るには
1、マクロレンズ( 注1 )を使う、 2、カメラレンズとカメラボディーの間隔を広げる、 3、接写用レンズをカメラレンズの前に付ける、
の何れかの方法を採らなければなりません。
上記1,2の方法はレンズ交換できるカメラでしか使えません。
私の持っているデジタルカメラはレンズ交換ができないので、3の方法になりますが、接写用レンズが買えないので、壊れてしまった単眼鏡の対物レンズで代用しました。
このレンズは アクロマート(注2) ですが、経験的には500円前後で売られている
オペラグラス(注3) の対物レンズ(凸レンズ)でも使えます。

カメラレンズの前に凸レンズを当てると、カメラに老眼鏡を掛けたのと同じになります。
新聞を50cmぐらい離さないと読めない老眼の方が老眼鏡を掛けると、30cmぐらいでも読めるようになるのと同じ理屈で、見かけ上、カメラレンズの焦点距離が短くなり、方法2の“カメラレンズとカメラボディーの間隔を広げる”と同じになります。

では、どのくらいまで近づけるか考えてみましょう。
ここで必要なのは物理の教科書に出て来る“ 薄いレンズの公式 ”は
レンズから被写体までの距離をA
レンズから結像点までの距離をB
レンズの焦点距離をF
とすると、 1/A+1/B=1/F   ・・・式1
というものです。

実際のレンズには厚みがあり、特にカメラレンズの場合は3枚以上のレンズで構成されているので、この公式を使うには抵抗がありますが、大雑把な計算ですからこれを使います。

私のカメラを例にして計算してみます。
広角側でレンズの焦点距離5.4mm
被写体までの最短距離160mm
この数値をA=160
F=5.4として式1に当てはめると、 B=5.5886...

次に、このカメラレンズに焦点距離100mmの凸レンズを当てると、合成されたレンズの焦点距離fは
1/f=1/5.4+1/100
から f=5.12334  となります。

先にレンズから結像点までの距離Bを計算しました。
B=5.5886...
このBとfを
“薄いレンズの公式”に入れて(f=Fとします)
今度はAを計算します。

1/A=1/F−1/B
   =1/5.12334−1/5.5886
A=62

この結果から、カメラレンズの前に焦点距離100mmの凸レンズを当てれば約6cmまで近づいて撮影できる事が判ります。

実はもっと早く、 1/(新しい最短距離)=1/(古い最短距離)+1/(当てる凸レンズの焦点距離)
で求まります。

レンズと被写体の距離が近づくと大きく写せる理由は、三角形の比例問題で解けるので割愛します。

注1 マクロレンズ
接写専用レンズで、通常の撮影レンズが無限遠の被写体を対象に設計されているのに対し、このレンズは極近い所にある被写体を対象に設計されています。
簡便には、通常のレンズを逆さに付ければ代用できます。
逆さというのは、被写体に向く側がカメラボディーに付く方になるということです。
注2 アクロマート
光の色によって  レンズで屈折する角度が異なる為、  色によって焦点距離が異なり、結像面で色にじみとして表れます。
これを防ぐ為に、光に対する屈折率の異なる材質で作った2枚のレンズを組み合わせ、2つの色について焦点距離を合わせたレンズです。

注3 オペラグラス
ガリレオ式望遠鏡を双眼にした簡易な双眼鏡。
対物レンズは凸メカニズムレンズが多い、接眼レンズは凹レンズ。
凸メカニズムレンズは表は凸ですが、裏は凹レンズの様に窪んでいます。
1枚のレンズで少しでも良い像が出来るようにした工夫で、玩具的なカメラに使われていました。
もっと古くは歴としたカメラにも使われていたレンズです。








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