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ミツバチの色覚

身近な自然と科学 Vol.36【ミツバチの色覚】

ミツバチと紫外線の関係に行く前に“眼”の種類に付いて・・・・
先ず、私たちや犬猫などの眼は『カメラ眼』と言われます。
カメラのレンズに相当する物が“水晶体”でカメラのフィルムに相当する物が“網膜”だからです。

次に、トンボのように小さな眼が集まって一つの機能を持った眼を『複眼』と言います。
複眼を構成する小さな眼を“個眼”と言います。
個眼の能力は、デジカメ風に言えば画素数8程度で極めて荒い画像でしか認知できません。ですから複眼は、広い視野ですが画像は荒いということになります。

『単眼』というのもあります。
これは、極めて画素数が少ないカメラ眼で、昆虫の幼虫時代に多いものです。
蝿(はえ)は複眼と単眼を持って居て、単眼は明るさを感じるぐらいの 能力しかないようです。

次に紫外線と眼の関係です。
紫外線と言うのは、虹で見える青紫よりもっと赤色と反対方向の、青紫より波長(注1)の短い光です。
人間はもちろんですが、カメラ眼の動物には見えません。
見えないのにはちゃんとした理由があります。
直ぐに思いつくのは、紫外線が肌に有害であるように眼にも有害であるということです。
しかしもっと重要な事は、レンズの屈折率は波長が短いほど大きいので、紫外線まで見えるようにすると網膜に奇麗な像が映らないことです(注3)
実際のカメラや望遠鏡の場合、2つか3つの光の波長で像が奇麗に映るように調整され、紫外線はフィルター等でカットされています。
また、カメラや写真に詳しい方はご存知だと思いますが、風景など遠くの物をはっきり写すには、空気中での散乱が大きい紫外線は邪魔です。
物をはっきり視る機能に特化したカメラ眼では紫外線は有害であっても益が無いのです。

紫外線が見える昆虫の多くは複眼です。
複眼を構成している個眼は小さいので、波長の長い光(赤色の方)は回折現象(注2)で奇麗な像が出来ないのでその分、短い波長域(紫外線部)にシフトしていると考えられています。
今回テーマのミツバチも複眼です。

ミツバチと色覚の関係を明らかにしたのは、フリッシュ(Karl von Frisch ノーベル賞受賞オーストリア1886-1982)で、ミツバチは赤の色盲、青、紫、すみれ色、緑、黄、オレンジ色が識別できないことが実験によって判り、その後、青緑色も一つの色(?)として識別でき、紫外線が識別できることも明らかにされました。

ミツバチにとって、紫外線の識別能力には命がかかっています。
ミツバチが多く集まる花びらを紫外線で観察すると花びらの周辺部は紫外線を多く反射し、蜜のある中心部は紫外線を吸収しています。
ですから、ミツバチは紫外線を反射している物を目標に飛んできて、その近くに来たら、紫外線の反射の多い部分に囲まれた暗い部分に停まれば良い訳です。
この暗い部分(紫外線を吸収している部分)を『ハニーガイド(蜜標)』と呼びます。

注1:波長
光を波として考えた場合、例えば波高の山から次の山までの長さ

注2:回折
波が障害物の端を通過して伝播する時、その後方の影の部分に侵入する現象。
防波堤で守られた港内にも波が侵入するのは、この回折現象によります。
また、携帯電話と基地局の間に障害物があっても通話が出来るのも回折現象が役立っています。
その他に、電波の透過、反射もありますが、

注3:
色収差で奇麗な像が得られません。虫眼鏡(ルーペ)が2つ手元にありましたら、一方を左手に持ち、もう一方を右手で眼に当ててその状態で左手の虫眼鏡を覗いて風景を見てください。
(望遠鏡のようにして)
左手の虫眼鏡を前後に動かしてピントを合わせても色が滲んでいるはずです。
これが色収差です。
像が歪んで見えたりするのは別の収差です。
虫眼鏡を普通に使用していても、物の周りが色で滲んで見える事もあります。
当然、これも色収差です。
高級な虫眼鏡は、2,3枚のレンズを組み合わせて色収差を含めて収差を補正しています。

ミツバチの色覚を知る実験について
夏休みなので、自由研究にしたいというお子さんの為に簡単に触れます。
例えば、赤色が識別できるか実験するには透明なガラス皿(シャーレ)に砂糖水を入れ、赤い色紙の上に皿を載せて置きます。
ミツバチは砂糖水に引かれて集まってきます。
これを何度も繰り返します。
す ると、ミツバチは遠くから寄ってくる時は赤い色紙を目標に飛んでくるようになります。
次に、赤い色紙の代わりに黒い色紙に変えます。
色紙を変えても変える前と同様にミツバチが集まれば、ミツバチは赤と黒が識別できないということになります。もちろん、正確にするには、砂糖水の入った皿の傍に真水を入れた皿を置いて比較するとか、他の人に疑義を挟まれない様に工夫し、結果も統計処理して検定(偶然では起こり得ないことを数学的に証明)しなければなりません。
小中学生レベルでは、複雑な統計処理は必要ないと思います。








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