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岩石が土になるまで

身近な自然と科学 Vol.61 より

土(土壌)は太陽と共に生物を養う根源です。
肉食動物は草食動物を食べ、草食動物は草木を食べ、その草木の殆どは土に根を生やし、土を種子の揺りかごにし、土を身体を支えるものとし、土から微量元素を取り入れて生活繁殖しています。
一見すると土とは関係ないと思われる、河、湖水、海に生存する生き物たちも、河の上流地域に豊かな森林が形成されればその河や、その河から流れ込む湖水や海に魚が繁殖するという事実からして間接的に恩恵を受けていることは確かです。

先ず、土が生まれる過程を考えてみます。
地球が生まれた当初は、文字どおり“火の玉”だったのでしょうから、地表もドロドロに融けている状態で、大気の85%は水蒸気で、炭酸ガスは12%と考えられます。

それから年月が経 ち地球の温度が下がると、融けていた地表は固まりますが、地下のマグマに拠る噴火や地震で地表は割れ、噴火に拠って岩や火山灰が飛び散り始めます。

ところで、原始地球の地表面の成分がどのようであったかは、火山に拠って出来た岩石(火成岩)の組成で見当がつきます。

酸素 46.40%、ケイ素 28.10% アルミニウム 8.20% 鉄 5.60% カルシウム 4.15% ナトリウム 2.36% マグネシウム 2.33%・・・・・・・ということです。
酸素が圧倒的に多いですが、酸素はケイ素、アルミニウム、鉄などと結びついて存在しています。
特にケイ素と結びつきやすく、“二酸化ケイ素”や“二酸化ケイ素塩”という形で多くは存在しています。

上記成分で酸素の次に多いのはケイ素ですから、岩石の殆どはケイ素と酸素の化合物と言えます。
ちなみにケイ素は、情報社会には欠かせない半導体・シリコンの原料です。
一方、大気中の水蒸気は温度が下がると雨となって地表に降り注ぎますが、その時に大気中にある炭酸ガスを溶け込ませて弱い酸性を帯びるようになります。 

話を土の出来る過程に戻します。
岩石の表面を良く見れば気づくように、岩石の表面には小さなひび割れ、窪み等がありますが、そこには雨水が溜ったり染み込んだりします。
それらの水は、太陽熱で水蒸気となって、或いは凍って膨張します。
その圧力で岩石表面は崩れていきます。
岩石に割れ目があって、水が深くまで染み込んでいたら、その水の膨張で岩石は割れ、より小さい岩石となるでしょう。
岩石同士が風や水流によってぶつかり合って割れても、小さい岩石や砂状になることでしょう。

また、植物が岩石の割れ目に根を張り、根の成長に拠って岩石を割ることもあります。
以上の過程は、“物理的な風化作用”です。

物理的な風化作用を受けても、成分は大きな岩石と変わらずに、ケイ素と酸素の化合物であることに変わりはありません。

物理的風化作用によって出来る最も細かい砂は、“微砂(シルト)”と謂れるもので、100分の1ミリメートルほどのものですが、これだけでは砂漠は出来ても“土”にはなりません。

砂が土になる為に必要なものは何か?
現在地球上にある砂漠には、土がある所と比較して欠けているものがあります。
それは、雨です。砂の上に雨が降ると、僅かな有機物を元に微生物が棲息し、また、水はけの良い所を好む植物が生えてきます。
植物の根や微生物は呼吸に拠って二酸化炭素を出し、それが水に溶けることに拠り水を酸性にします。
また、植物の根は微量元素を取りいれる為に酸性の分泌液を出します。
元々、雨は空気中の二酸化炭素が溶け込んでいるので弱い酸性ですが、このために土壌はより酸性に傾きます。

酸性の水に触れた砂からは水に溶ける物質が出てきます。
ここで出てくる物質も主にケイ素の化合物ですが、水が流れないで留まっていた場合は溶けきれずに沈殿して粘土鉱物と謂われるものが出来ます。
これは“化学的風化作用”と言えますが、これによって出来た粘土鉱物が“土(土壌)”の正体です。




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