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酵素について

身近な自然と科学 Vol.68 から

衣類の洗剤に“酵素入り”と書かれるようになってかなりの歳月が過ぎました。
また、前号(Vol.67)でも出てきた“消化酵素”という語句は小学生でも知っています。
しかし、酵素とは何?
こんな訳で、今号では【酵素】に切り込んでみようと思います。

先ず、酵素は物質Aを物質Bに変える化学反応を促進する物質ということです。
化学反応の促進で思い浮かぶのは“触媒”です。
触媒として有名なのは、白金プラチナ)で、自動車や工場から出る排気ガス、浄化装置、燃料電池などで使われています。

酵素と触媒の最も異なる点は、酵素が有機物である“タンパク質”なのに対し、触媒は金属などの無機物であるということです。
この違いは、酵素と触媒が最も良く働く環境にも違いを及ぼしています。
一般的に化学反応は温度が高いほど進むので触媒を利用している場合は許す限り高温が良いのですが、酵素はタンパク質ですから触媒利用では低温に相当する42度以上でも茹で卵状態の危険に晒されてしまいます。
もちろん、低温下では働きが鈍くなります。
トカゲやカエルなどが冬眠したり、日向ぼっこをして体温を上げてから活動するのは、エネルギーであるATPを合成するときに必要な酵素(ATP合成酵素)が低温では十分働かないためです。

話の進行上、酵素というには異質なATP合成酵素から説明します。
消化酵素などとは違い、特殊な機構を持っています。
最近話題になっている“ナノテクノロジー”の精密機械とも言えます。(1ナノは 10億分の1)
大きさは10ナノメートル×20ナノメートルぐらいで、2つのモーターが1つの軸で連結されていて、この2つのモーターは互い逆回転します。
F1モーターが右回転しているときはF0モーターは左回転
F1モーターが左回転しているときはF0モーターは右回転

  *****  ← モーター(F1)
  *****
    +
  +++++  ← モーター(F0)
  +++++

2つのモーターは可逆的に働きます。
可逆的というのは、水が氷に、氷が水に、というように状態が繰り返せるような事を言います。

ATP合成酵素は先ず、F1モーターを回転させます。
そのエネルギーは既存のATPを加水分解した時に出るものを使います。
最初は親からもらった最低限のATPが、植物なら種子にあります。ATPによってF1モーターが回ると、その軸に繋がっているF0モーターは陽子の位置エネルギーを高めます。
肝心のATP合成は、陽子の位置エネルギーを使いF0モーターを回転させて、その軸に繋がったF1モーターを逆回転させてATP合成します。

要するにATP合成酵素内のF1モーターはATPを分解するエネルギーで回転し、逆方向に回転させればATPを合成する。
F0モーターは陽子の位置エネルギーで回転し(位置エネルギーが低くなる)、逆方向に回転されば陽子の位置エネルギーを高める。
それぞれのモーターがATP合成、或いは陽子の位置エネルギーを高めるために使うエネルギーは、軸が繋がった相手の回転エネルギーを使う。

さて、一般的な酵素の話です。
物質Aから物質Bに変化させるにはエネルギーが必要です。
このエネルギーの壁は高いのが普通です。
高くなければ自然状態で物質Aは物質Bになってしまって物質Aは無いです。

酵素の働きは、先ず、或る特定の酵素が物質A(基質)に結合し、物質Aと酵素の複合体(酵素基質複合体)を作ります。
この酵素基質複合体に外部からエネルギーを加えると化学反応が起こり物質Bと酵素の複合体(酵素生成物複合体)が出来ます。
次に、酵素生成物複合体から酵素が離れて、物質Bになります。

酵素基質複合体から、酵素生成物複合体に変わるのに必要なエネルギーが
少なくてすむために反応が促進される訳ですが、例でいえば、物質Aから物質Bに無闇に進行する訳ではありません。
酵素が無かったときと同じ化学的平衡状態があり、物質Bが消費されてから反応が進みます。
(反応を進めるためだけの物質を酵素と名付けたのでしょうから)

話を酵素と触媒の違いに戻しますと、触媒の相手は広範囲ですが、酵素はくっつく相手(基質)を厳格に選ぶというのが触媒とのもうひとつの違いです。

酵素はタンパク質で、アミノ酸がペプチド結合して出来ていますが、1分子に1ヶ所だけ他の物質と結合する部位が空いている構造になっています。
その部分の原子と相手(基質)の原子とが共有結合して、酵素基質複合体を作る訳ですが、原子の種類と配列により、自ずと結合できる相手が決まってしまいます。
酵素が結合する相手を選ぶため、細胞内には1000−4000種類の酵素が必要で逆に相手を選ぶために多種類の酵素があっても混乱しないのです。


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