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生命 植物と死 続編

身近な自然と科学 Vol.33【植物と死 続編】

前回は、細胞の独立性が生物の寿命に関係するという話でした。
未分化(全ての組織を作れる能力を持つ)の細胞を持つ植物は、栄養繁殖(葉・茎・根など栄養分を作る部分で)できるので、個体(細胞の集合体で作る生命)としては寿命が長い訳です。

ところで、樹齢数千年という杉があります。
栄養繁殖してクローンで生き残っている訳ではありません。
杉などの針葉樹は、人工的にも挿し木は難しいので自然でも希でしょうし、広葉樹に見られる“ひこばえ(根から出た芽)”も無いので、地上に生えたその樹木が数千年間生き続けている訳です。

どうして、こんなに長生きなのか?
杉は天を突き刺すほど樹高がありますが、生きる為には高さは必要ではありません。
杉に限った訳ではありませんが、 樹木に必要なのは養分を作る葉、地中から水や微量元素をとりいれる根、葉と根を結ぶ幹・茎だけです。
この3器官のどれかが機能不全を起こした時に死を迎える訳です。
人間でも○○○不全で死にます。
(○○○不全は病名ではないということです)
双子葉類(注1)は、これらの器官を作り替えることで機能不全に陥ることを防いでいます。

先ず、葉を考えてみれば、落葉樹が端的ですが、常緑樹でも少しずつ古い葉を落とし新品と入れ替えています。
次に、根ですが、太く硬くなった根は、樹を支える機械的なものが主な役割で、細かい根(白い部分)が水や微量元素を取り入れ、この部分はいつも成長して新しいものが作られています。
茎(幹や枝、太くなった根)で重要なのは水分の通路である“木部(道管部)”
養分の通路である“師部(じん皮部)”ですが、通路である以上、当然傷む訳です。
しかし、植物細胞は硬い膜で覆われているので作り直すことは出来ません。
そこで、今の維管束(木部、師部の集まり)の外側に新しい維管束を作っています。
この跡が年輪になります。
このように、杉などの樹木の場合は、器官を使い捨てて長寿を得ている訳です。

単子葉類の場合は、多くの種が維管束を新たに作れないので維管束が機能不全を起こした時点で死を迎えます。

1年草の場合も器官を作り直すことが出来ず全体が死にます。
多年草の場合は、体の先端にあるべきはずの成長点(注2)が栄養を貯えている根茎部に密着して冬を過ごし、翌春、新たに維管束や葉を作ります。

いずれにしても、植物は動物に無い強い生命力を持って居る種が多い訳です。
これも細胞が未分化な為ですが、もう一つ動物には無い特徴があります。
それは、広い意味でコントロールされた細胞の増殖です。
動物の場合、身体の形は細部まで種によって決まっています。
しかし、植物の場合は大まかです。
同じ種の植物でも、葉の数、枝の曲がり具合、長さ、時には葉の形まで異なっています。
また、枝を切ってもいつの間にか樹皮で覆われいることも珍しくありません。
未分化という何にでもなり得るという怖い細胞を持ちながら、生命維持という大枠ではコントロールされている訳です。

動物にも未分化の細胞があります。
“癌(ガン)細胞”です。
癌細胞の塊の中には血管(新生血管)が出来るのは良く知られていますが、骨や毛まで出来るそうです。
もちろん、植物のようにコントロールされていなので癌細胞が増えると死に至ります。




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