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桜の葉

「身近な自然と科学Vol.161」2009/04/20に配信したものです

ソメイヨシノはすっかり葉桜になり、これからは、塩漬けにされた桜葉に包まれた桜餅が舌を楽しませてくれます。
塩漬けにされた桜葉の7割は静岡県松崎町、西伊豆の港町の産ですが、残りの殆ども伊豆で作られています。

桜葉の収穫の時期はこれから5月から8月なので、桜を見終わった後は葉を取って自家製を、と手を伸ばしたくなりますが、葉は植物にとっては季節を知るセンサーなので大量に取ると花期を誤ってしまいますのでほどほどに。
そして、何より、私たちが口にしている葉はソメイヨシノでは無く、葉質が軟らかくて毛が少ないオオシマザクラですから。
オオシマザクラは伊豆地方に自生しているもので、葉より先に花が咲くソメイヨシノとは異なり、葉は花と何時を同じくして出ます。

さて、塩漬けにした桜が醸し出す芳香の正体はクマリンという芳香族化合物です。
芳香族化合物は六角形で表されるベンゼン環を持ったもので、最も単純なものは脂質などを溶かす溶剤として使われるベンゼン(炭素6水素6)ですが、桜葉にあるクマリンは二つのベンゼン環がくっついた炭素9水素6酸素2と複雑な形をしています。

葉中に独特な匂いを放つクマリンがあるのに桜の下で匂わないのは、クマリンは桜葉の中では糖分子と結びついたクマリン酸配糖体として細胞中にある液胞に閉じ込められているからです。
ところが、細胞が破壊されると液胞が破れ、クマリン酸配糖体は細胞外にある酵素によってクマリンが生成されて独特の芳香を放つようになります。
注意しなければならないのは、クマリンには肝毒性があるので、食品への添加物として認められておらず、多量に摂取するのは禁物だということです。

1年の内、僅か数日間を楽しむ花のように、葉の方も桜餅や桜茶などでほのかな香りを楽しむのが良いようです。





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