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生物における小さいことの利点

身近な自然と科学 Vol.39【小さいことの利点】

8月15日は太平洋戦争が終わった日です。
太平洋戦争は、日本時1941年12月8日、日本軍のハワイ・オアフ島の真珠湾攻撃に始まるのですが、攻撃前、日本海軍は映画関係者に真珠湾を上空から観た映画を作らせたそうです。
今風に言えばシュミレーションで、戦闘機のパイロットや攻撃手に疑似体験をさせるためです。
その映画を作った関係者によると、苦労したのは“波”だそうです。
港の地形、敵の戦艦などは縮小して作れますが、波は、水をそのまま使う限り表面張力が大きいので、地形や戦艦の縮小サイズに合わせた小さな波は作れないのです。

話は戦争から始まりましたが、今回は、【生物における小さいことの利点】です。
表面張力(注1)の繋がりから拾えば、“アメンボ”は身体が小さくて軽いから水の上を歩ける(?)訳です。

生物、特に昆虫や動物に興味を持ってくると不思議に思う事があります。
小さなミツバチが蜜を求めて何キロメートルもの距離を往復したり、小さな渡り鳥が数千キロメートルを飛んだり、そもそも、昆虫や鳥が空を飛べるのも不思議です。
ノミ(蚤)やバッタは自分の体長の何十、何百倍もジャンプします。

これらの昆虫や動物に共通するものは、身体が小さい事です。
同じ鳥類でも、ダチョウのように大きくなると飛ぶ事を放棄しますし、アホウドリのような大型種は、羽を動かす筋力が弱いのか、風や地形を利用して飛び上がり、空中でもグライダーのように風に乗って飛ぶ、省エネ飛行です。

ここで、身体が小さい事の利点を数学的に表してみます。
その前提として、次の条件が自然界で当てはまると仮定します。

条件1:身体を支える骨の強さは、骨の断面積に比例する。
(太い骨ほど丈夫)

条件2:筋肉の強さは、筋肉の断面積に比例する。
(筋肉モリモリが強い)

条件3:身体の大小に関わらず単位体積あたりの重さは変わらない。
(大きい動物も小さい動物も1立方センチメートル当たりの肉の重さは変わらない)

以上の条件で体の大きさが縦横高100分の1(0.01)になった動物を考えてみます。
体積は、0.01×0.01×0.01で1000000分の1
体重は条件3より、体積と同じ1000000分の1
骨の強さは条件1より、0.01×0.01で10000分の1
筋肉の強さは条件2より、0.01×0.01で10000分の1
この結果、体重は1000000分の1に落ちても筋肉の強さは10000分の1の低下で止まっていることが判ります。
ということは、体重に対する筋肉の強さは100倍になっているということです。
骨も100倍強くなっているので強さを犠牲にして、軽い構造にしても身体を支えられますので、もっと体重は軽くなります。

ところで、跳躍するのに必要なエネルギーは、体重×高さ なので、高さ 1 だけ跳躍するのに必要なエネルギーは大きさ1の動物は、1
大きさ100分の1の動物は、1000000分の1
になります。

以上の計算をそのまま生物に当てはめるのは無理かも知れませんが、小さい生物は、大きな動物より、筋肉や骨の強さ、消費エネルギーの面で有利だと想像できます。

ちょっとそれますが、例えば、大きさ1の生物を10倍に拡大したら倒れてしまいます。
体重は、10×10×10 で1000倍になるのに、骨や筋肉の強さは、10×10で100倍にしかならないからです。

注1:表面張力
液体や個体の表面が自ら収縮して出来るだけ小さな面積をとろうとする現象。
ガラスなどに落とした水滴が盛り上がっているのは、この現象です。
水の表面張力は、“水銀”の次に強いです。





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