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蓄肉と魚肉の違い、魚肉に塩を付ける理由

魚料理には塩が付き物です。
牛や豚、鶏肉などの畜肉・獣肉の調理で使う塩は味付けですが、魚料理での塩は魚肉の性質によって不可欠になっています。

食用にする肉の主成分は、

です。
魚肉が蓄肉・獣肉と異なる点は、筋原繊維タンパクの割合が魚肉の方が20%ほど多く、 肉基質タンパクが魚肉の方が20%ほど少ないことです。

筋原繊維タンパクは繊維状タンパク質で食塩水でバラバラになります。
筋形質タンパクは粒状で水や薄い食塩水で流出します。
肉基質タンパクは骨と筋肉を繋げる腱や筋肉を包んでいる膜で、コラーゲンを含み、水や食塩液ではバラバラになりません。
肉基質タンパクが多い魚肉を煮た煮汁が冷めるとゼリー状になります。「にこごり」と言われるものです。

本題の「魚肉に塩が欠かせない理由」は、筋原繊維タンパクが多く、肉基質タンパク質が少ないことによります。
魚は死ぬと種類により異なりますが、早い種なら数十分、 遅い種でも数時間後には、体内に持っているタンパク質分解酵素によって自己消化(自己分解)を始めます。
畜肉・獣肉の場合は自己分解を始めるのが数日後です。
しかも、魚は塩水でばらばらになる繊維状タンパク質が多く、水・塩水でばらばらにならない肉基質タンパク質が少ないので 自己消化を始めると食用に適さないほど肉質が劣化し、細菌も繁殖し始めます。
料理番組に肉料理が多く魚料理が少ない理由の1つに、魚料理は再現性が低いからというものがあるそうですが、 再現性が低いのは魚肉の傷みやすさが関係しています。
他方、蓄肉・獣肉の場合は肉質が元々硬いので自己消化は「肉の熟成」と表現されるほど必要とされるものです。
肉は腐る一歩手前が美味しいとも言われています。

そこで、魚肉には塩が活用されます。
1%以下の塩の場合は、水と薄い塩水でばらばらになる筋形質タンパク質が流出します。
流出してしまうので、包丁を入れた魚には水や薄い塩水を掛けると味を損ないます。

2〜6%の塩の場合は、筋原繊維タンパク質がばらばらになりますが、 ばらばらになったものは合わさってアクトミオシンと言われる糸状の大きなものになり、 時間が経つとアクトミオシンは立体的に絡み合って弾力性が出てきます。
この魚肉の性質を利用したのが蒲鉾や肉団子です。

更に塩分濃度を増して、15%ほどにすると、 タンパク質と水和結合(水分子と付いている状態)していた水が塩に奪われてタンパク質は凝固してアクトミオシンは作られなくなります。
また、魚自身が持っている酵素もタンパク質なので食塩で擬固すると酵素は機能を失い、保存性が増します。

魚の塩焼きでは、2%ほどの塩を振り掛けます。(ふり塩)
これは魚の表面のタンパク質を脱水して凝固させて引き締め、流出する塩水と共に臭みを落とし、更に魚の内部に入り込む薄い塩分で 魚内部のタンパク質をばらばらにし、再結合させることによって弾力性を増して食感を良くする効果を得ようとするものです。

冷凍冷蔵技術が発達した現在では、塩によって保存性を増す必要は薄らぎましたが、 塩は直ぐに軟らかくなってしまう魚肉に程よい硬さを与えて食感を増すという重要な役割があります。
ただし、冷凍保存したものを解凍してから塩を添加したものは、獲って直ぐに塩を添加したものより味が劣るようです。
高血圧対策という理由で塩分摂取量を制限している現代の食生活では、魚の美味しさは味わい難いのかも知れない、と私的には思います。





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